Mini 55-56 Cooper


 
Cooperモデルはターボなしの“そこそこパワーの自然吸入モデル"であり、装備が充実し、かつMiniとしてのあり方・存在感を広くアッピールする、いわばMiniフリーク用のライフスタイルの一部の様な存在だ。

56 Cooperの一見小柄なボディも55Cooperになると、それなりの車格になり若干“重い"印象も受ける。


では、そのCooperのエンジン性能と言えば、カタログ値は120PS/トルク14kgm。
27モータースポーツの設備(DAYNO RACE)では、そのパワーは僅か104PSに留まる。

他社では、DMEチューンで何馬力UPと称する数値やグラフが公表されていますが、実際にどこで・どんな設備で測定されたものか?
あるいは、その性能通りに本当になっているのか?
と日本国内で販売している業者は明確な公表をしていません。

本音で言えば、仕向け国でエンジン仕様は異なることもあります。
また、その市場の状況により、性能も変化をします。
ならば、チューニングメーカーのカタログ値通りの性能になっているのかを、ここ日本で再検証してから販売をしても良いのではないでしょうか?

27MSでは入念なデーターサンプリングから入ります。

この55-56Cooperも開発には実は相当な時間が掛かっています。
と言うのも、僅か100PS程度の非力なエンジン性能を充実させる事は容易ではないからです。

10%アップは簡単ではないのです。

Mini 55-56 Cooperについては大きな性能変化はDMEチューンだけでは不可能ですが、グラフからも分かるように、全体的なトルクのアップを達成。
後半のエンジン馬力の伸びは、大きく向上しています。


ビデオをご覧下さい。
軽いレスポンスやアクセルワーク、加速感を撮影しました。
開発に関係する当社スタッフがドライブし、インプレッションを述べています。
プロドライバーの様なサーキットからの視点ではなく、日常的なドライビングの楽しさを前提に、一般的な皆さんと同じ観点・視点で検証しています。
不慣れなコメントですが、その辺はご容赦下さい。

ポイント

1.アクセルレスポンス

Miniのスロットルは、ケーブルで連結されていません。
電子制御でコントロールされているタイプです。所謂、フライバイワイヤーと称されるタイプです。
室内のアクセルペダルは、足スイッチのようなもので、この操作をDME(ECU)が感知・演算し、モーターを使って実際のスロットルをコントロールしています。

自分は、ギュンっとアクセルを踏んでいるのに、ダラっとアクセルが開いていることもあります。
その動き具合はメーカーの味付けでもありますが、目的の一つには安全確保もあります。
リニアな反応が絶対的ではないのです。
しかし、それでは面白くない反面もあります。

シフトチェンジでのアクセルのレスポンスのよさは、軽快なシフトリズムを生み出します。
また、加速モードでのアクセルの俊敏な全開反応は、そのダイナミックなパワーを感じさせる至極な瞬間でもあります。

アクセルMAPを徹底的に見直し、俊敏な反応を取り入れつつ、DME的には異常モードと判断させない範囲で、27MSらしく味付けを行います。

2.点火時期

DMEチューニングでは欠かせない、重要なポイントです。
特に加速中の点火時期で、良くも悪くもパワーは変わります。
また、誤った設定はエンジンのパワーダウンどころか、エンジンの重大な損傷にもつながり、非常に難しい面もあります。
実走でのデーターでは判断がし難く、まさにローラー上での確認がとても重要です。
激しいエンジンのノイズの中で、ノック音を聞きだすことは容易ではありません。

ローラーに負荷を付けながら適切な点火時期を判断し、ノッキングなどが絶対に起こらないレベルであり、且つ有効にパワーを引き出すポイントを見出して行きます。

3.空燃比

これも重要な点です。A/Fと表しますが、Air=Fuelの混合比率。
走った感覚や、排気の色を見て、“濃いかなぁ"などとかなりアバウトに判断しては、チューニングの意味がありません。
1つのエンジン性能の中に、リッチ(濃い)とリーン(薄い)が混在するのです。
例えば、低速域では薄く、高回転域で濃い・・と言うことも良くあります。
全体的に、A/Fをアジャストし、また加速領域では燃費よりも加速感、一定クルージングでは、燃費重視と言う、メリハリを付けながらトータルでセットアップを行います。

負荷付のローラー上では、細かに各部を煮詰め、僅か100PSのエンジンにさえ妥協を許さず、徹底的に追い込んで行きます。
27MSの作り出すプログラムは、このような裏づけを伴い完成されています。

Mini Cooper は、ファッションスタイルと走りの中間を位置づける、幅広くMiniオーナーに受け入れられ易い存在といえます。
決してパワフルとはいえないエンジン性能であっても、走りの楽しさはDMEチューニングで充分見出す事は可能です。

軽くなったエンジンと、小気味良いレスポンスを多くのCooperオーナーズにお楽しみ頂ければと思います。