FIAT 500 ABARTH 1.4Lターボ


イタリア最大の自動車会社FIAT。
ヨーロッパのモータリゼーションの根幹的存在と言える会社だ。

日本国内では、FIATと聞いても実際に思い浮かぶ車種は多くはなさそうだが、アルファロメオ、ランチア、マセラティ、フェラーリもすべてフィアットグループだと知れば、如何に巨大グループ企業であるかは、簡単に理解ができる。

さて、FIAT500に話を戻す。

500はイタリア語でチンクェチェントと発音され、昔からFIAT500の事を“チンク"等と略称で親しんだ。
27モータースポーツのDME(ECU)チューニングは、電子制御のインジェクション仕様のモディファイ。
従い、ここでは2007年以降の3代目フィアット500が対象になる。

ABARTH(アバルト)はイタリアで繁栄したレース会社。
その嘗ての職人集団ABARTHもFIATに結局は買収されたのだが、2007年にABARTH&C.の復活と共にラリー活動などの再開となったのは有名なお話。

さて、本題である。
FIAT500 ABARTH 1.4LターボはIHI製タービンを搭載した、ヤンチャなコンパクトカーとしての位置付け。
つまり、FIAT500のアバルトチューン仕様となるわけだ。

まずは、社内ダイノ・レース(最新シャシーダイナモテスター)で測定をしてみる。

カタログ数値は135ps。
当社ダイノレースでの測定では、ほぼカタログ通りに138PSをマーク。
メーカー公表のカタログ数値に満たない車が多い中、実力はしっかりとある様に感じられる。

STD&スポーツモードのグラフ(純正DME)


青 : 138PS/20.3kg スポーツモード(純正プログラム)
桃 : 139PS/18.5kg STD(純正プログラム)

スポーツモードなる、ハイパワー用スイッチが装備されており、走りの質をガラっと変えることができるのも面白い。

この二つは、当社測定の結果としては、両者のMAXパワーこそ変わりがないが、中間域での性能差は明らか。
トルク感に溢れ、グングンと加速するスポーツモードは、やはりABARTH乗りには堪えられないドライブを提供する。
メーカーカタログでは、最大馬力とトルクしか表記がないので、この2つのモードにどのような性能差があるのかを知るには、みなさんにとっても良い機会であろう。
当社測定グラフをじっくりとご覧あれ。

27モータースポーツでは、このSTDモードとスポーツモードの切り替えの楽しさもスポイルさせる事なく、上手くDMEチューニングを達成している。

STD&スポーツモード (DMEチューン)のグラフ


茶 : 170PS/24.9kg スポーツモード(チューニングプログラム)
緑 : 156ps/22.4kg STDモード(チューニングプログラム)

今回の当社のチューニングプログラムでは、STDモード(27MSプログラム)でも、標準パワーモード(純正プログラム)を超える仕様になった。

ABARTHと言えば、ディーラーオプションのESSEESSE(SS/エッセエッセ)キットが市場では人気のステイタス。
SSキット構成の中にBMC製エアクリーナーや専用のチューニングECUが含まれる。
カタログ数値は160PS/トルク23.5kgmへのアップとなる。

つまり27MSによるSTDモード(27MSプログラム)仕様で、SS(エッセエッセ)位のパワーと言える。

さらに、スポーツモード(27MSプログラム)仕様では、170PS位の馬力となり、トルクも25kg程度で、かなりパワフルな性能に変貌している。
SS(エッセエッセ)仕様を軽く上回る内容である。
低速域~中速域~高速域と全般において、太いトルクが約束される。
特に4000rpm辺からの加速感は、とてつもなく魅力的で、イタリアのABARTHが吠える力強さがそこに感じ取れる。
1.4Lであるが故に、気持ちよく吹き上がるターボエンジン。
グィグィと引っ張る加速感は実に楽しく、誠にエキサイティングである。

ブースとは1.0kg程度。
安全マージンは十分に取ってある状態でありなが、SS仕様を超えるエンジンパワーは魅力的であり、これこそがABARTHのあり方ではないかと提唱したい。

フェラーリトリビュートの180PSからは、やや下回る感じとなるが、標準車+ECUチューニングのみでの達成からすれば、実にコストパフォーマンスに富んだ充実したデーターチューニングだと自負する


今後はトリビュートやアセットコルサ等も機会があれば是非でもチャレンジしていきたいと思う。
また、ギャレット製タービンのコンバージョンも今後の課題として扱いたい。