BMW E90' 335i (ツインターボ)


BMWのターボエンジンと聞けば、市場では自然吸入のモデルが大半なので、その性能に大きな期待が寄せられる。

今後、135iをベースにターボユニットがさらに加速的に導入されるはずである。

今回ご紹介する車輌にはコードN54と呼ばれるターボユニットが搭載される。

直列6気筒3リッターに三菱製ツインターボチャージャー(ツイン・スクロール・ターボ・チャージャー)を装備したモデル。
3シリーズ+排気量3.5Lを表し、335iとネーミングされそうであるが、実際の排気量は3.0Lである。

先ず、メーカーのカタログ数値をご紹介する。

メーカー公表 : カタログデーター
総排気量 : 2979CC
MAXパワー :306PS/5800rpm
MAXトルク :40.8kgm/5000rpm

欧州では、ディーゼルエンジンに小型化したツインターボが搭載される車輌が実に多く、実際に現地で乗って見ると、先ずその静粛性に驚き、次にそのパワー(トルク)感に圧倒される。
日本国内でも最近になって僅かながらに、ディーゼルモデルが導入されているが、専らハイブリッド化を好む日本市場では中々受け入れられない実状があるものの、早くこのディーゼルターボの凄さに気がつけば、市場には面白い車が増加することであろう。

ともあれ、今回の335iはディーゼルではないが、ツインターボをこまめに制御するという点では同類で、爆発的・暴力的なパワー性能ではなく、乗り易さや足りないパワー感を補う、あるいは燃費向上を意識した上での、環境配備型の小型ターボチャージャー搭載であろうと推測する。

余談であるが、他社のDMEチューニグは、必ずメーカー公表の性能曲線が基本となる。
実際に測定をするとそうならないケースが大半である。
チューニングとは、先ず社内での繰り返したデーターサンプリングから始まるものだが、基本データーがメーカー公表データーと同一なのは、如何なものかと思う。

当社DYNO-RACEでの測定では、以下の数値となった。

当社設備計測データー :ノーマル
MAXパワー :284PS/5400rpm
MAXトルク :40.4kgm/3600rpm

この335iは、当社イメージからすすると、まぁまぁキチンと性能が出ている印象を先ず受ける。
標準トルク40kgmオーバーは決して侮れない数値である。
ところが、実際にドライブをすると、速い・・と言うイメージよりは乗りやすいと言った感じが先立つ。
エンジンには、シリンダーブロック、ベアリングキャップ、シリンダーヘッドガバーにマグネシウム合金を使用されているなどとの情報もあり、メーカーとしてはエンジンポテンシャルをさらに発揮させるには、徹底した軽量化を必要と考えた証である。

さて、肝心のDMEチューニングの説明に入りましょう。

当社設備計測データー :27MS DEMチューニング
MAXパワー :330PS/6250rpm
MAXトルク :46.9kgm/4300rpm

先ずはトルクから。
純正でもかなり低回転域からトルクを発生させるあたりは、流石にツインターボの旨味を上手く引き出している。
しかし、27MSが手がけると、話は一変する。
3000rpm手前でもトルク差は5-6kgmにもなり、3500rpm辺りでは既に純正MAXトルクを超える動きになる。
低回転からのトルクの出し方が、DMEチューニングの腕の見せ所の一つである。

さらに、大きくトルクの差を広げ、最終エンドまで圧倒的な差を設けて終る。
つまりは全域に渡り、ノーマルデーターとは異なる大きなトルクを得ているとお考え頂きたい。

最終までの高トルクの維持は、結果として馬力性能にも大きく影響する。

ノーマル馬力曲線では、5400rpm辺りから大きく馬力が落ち出す。
6000rpm辺りには、その馬力もガクンっと落ちてしまい、美味しい瞬間はホンの僅かと言える。
一方で27MSのプログラムでは、MAXパワーは実に6250rpmで達成しており、加えてこのパワーは低速域から一気に右肩上がりの上、5200rpm辺りでは、ほぼフラットに近いほどのパワーバンドを維持している。

総合的に言えば、低速域からのトルクアップ、全域に渡る高トルク維持。
高回転まで垂れないレスポンスと、広範囲に渡るパワーバンド。
乗り易さを失わずに、よりスポーティな性能を描くエンジン特性とした。

気になるブーストであるが、純正ブーストはノーマルでのmaxブースとが約0.5Kgcm2に対し、27MSプログラムでは、僅かに高い0.8kgcm2に過ぎない。
極めて安全に且つ効率よくDMEチューニングが行われていることにご理解いただきたい。

それにしても、最大値差で46PS/6.5kgmをたたき出している。
DMEチューニングの醍醐味と言える。

最後に

BMW E90クラスになると、DMEのコントロールはより複雑になる。
従来型のシャシーダイナモテスターでは、後輪しか回転しない為に、トラクションエラーとDME(ECU)制御上は判断される。

つまりは、当社導入の4輪シンクロタイプのテスターでなければ、容易に測定すらできないこともある。

今までは、日本のデーター市場ではデーター輸入先である本国メ-カーの技術を誉めるばかりの会社が目立つが、今後の最新車輌のDMEに関しては、当社の様な設備がなければ、国内で確認検証すら困難であるのです。

データーコントロールばかりではなく、キチンと測定・実証することが、目に見えないデーターが商品なだけに、設備はチューニング市場には欠かせない要素と考える。

BMWの開発はさらに力を入れて参ります。

是非、お気軽にご相談ください。